木霊(2018)new!
いつも応援しているオーストラリアの天然香水パフューマリーTRNPの調香師テオーネさんが、この9月に日本の精霊をモチーフにした新作香水「木霊」を発表しました。1960年代の日本を舞台とした恋愛小説(その中に出てくる彼女の神秘的で官能的な残り香)から直感を得たそうです。
ブログによれば、テオーネさんはその香りを具現化したいという強迫観念に駆られ、7月頃、私に「日本の精霊を主題にした香りを作っているのですが、日本語で良い名称はないでしょうか」とを訊ねられました。伏せておきますが、私は幾つかそのイメージに合う精霊や神様の名を挙げました。それで、テオーネさんが「素敵な響きだし良い感じがする」と選んだのが「木霊(Kodama)」でした。
8月中にプロトタイプのサンプルが届き、サイトでも発売されたので試したかったのですが「9月まで試すのを待って。一緒に送ったRose Embersのアンバー強化版できっと気がまぎれるわ。今最終版を作っているので完成したら最終版のサンプルを送ります」と言われておりましたので、しばらく待ちました(笑)そして昨日、最終版のサンプルが到着しました。
私に名付けを依頼して下さった件ついての記述がブログ記事にございますのでご覧ください。
木霊 Kodama
主な香料:
ゲッキツの花、エジプト産ゼラニウム、オレンジブロッサム、ベトナム産ウード、マイソール産サンダルウッド、アンブレットの種、シダーウッドによる木のアコード、サイプレス、トウヒ、モミの木
印象:
(プロトタイプ)
雄々しくダイナミックな大木の雰囲気。シダーウッドやウードのスパイシーで力強い木の匂いが主張しています。まず、歯が軋むようなシダーウッドとアンバーが満載の涼やかなウッディスパイシーから始まります。えぐみが感じられますが、やがて優しいフロリエンタルとなって終わります。この咽(むせ)そうになる、荒削りで男性的で素朴な面がプロトタイプの魅力です。意外と透明な一面もあり。
主な香料:
ゲッキツの花、エジプト産ゼラニウム、オレンジブロッサム、ベトナム産ウード、マイソール産サンダルウッド、トンカビーン、アンブレットの種、シダーウッドによる木のアコード、サイプレス、トウヒ、モミの木
印象:
(最終版)
プロトタイプでは宙に舞っている感じの印象でしたが、最終版ではアンバーが強化されていて地に足の着いた仕上がりとなっております。トップの荒削りな面も細かくそぎ落とされた様子。大人しく暖かく穏やかに香り、洗練されたなあと感じます。寄り添うようなオレンジブロッサムとゼラニウムのスマートな甘さ控えめの花に、清涼感のあるサイプレスがさりげなくくわえられ、最終的にふんわりとしたフローラルアンバーとなります。
両タイプに共通しているのはバルサミックな芳香。精油の力を感じます。試作品には味噌汁の灰汁のような良さもありまが、それじゃあ作者にとっては駄目なのですね。絵も「どこで手を止めるか」が分かれ目だったりする。
どちらにしても、結構ロングラスティングで残り香が綺麗です。とても心温まる香りなので是非お試しください。
0 件のコメント:
コメントを投稿