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2013年6月22日土曜日

Cuir de Russie Extract & Les Exclusifs de Chanel Cuir de Russie(1924) by Chanel


 シャネルのロシアの革(Cuir de Russie)を着る季節がやって参りました。調香師のボー氏が仕事をしていたモスクワのアルフォン・ラレー社(A. Rallet&Co.)に比べればこの寒さは序の口ですが、12月の寒空の下で着る湿ったなめし革とドライな白樺の重なりは気高く、1924年に解放的な女性たちをモチーフに作られた香りは、背筋の伸びた孤高の存在であり続けます。
 ミドルに差し掛かってくると、ほんのりパウダリーで冷たいアイリス、芳ばしくて妖艶なイランイラン、煙草葉の苦みがエレガントなバラと革に合流し、ベースで人肌と一体化。甘く柔らかく暖炉のような趣になりますが、どこか寂しげな御婦人を思わせます。
 上記の感想はパルファムのものですが、これのEdPが本当に心地よく、着けていて幸せを感じます。湿り気を好まない時にはEdPをどうぞ。

 同時代に作られたクニーシェ・テン(Knize Ten/コティとRoubert)はアンバーのとろみが革に加わり、上記よりも香り方が柔らかい。僅かにソーピーなカーネーションが柔らかい革の魅力を引き立て、肩の力を抜きながら一歩距離を置いた、お洒落で品の良い紳士の明るい匂いにしています。

 もともと、Cuir de Russieは女性向けに、Knize Tenは男性向けに作られた香りです。先入観なしでもこんな印象をもたせてくれるところに、両調香師の凄みを感じます。